雲海発生の予想方法(上級編)

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秋は雲海の季節ですね。
雲海発生の予想方法については、「雲海発生のメカニズムについて」に記載しましたが、今回はもう少し詳しい予想方法について書いてみます。
さて、今回ご紹介するのは、多くの写真家が利用しているGPV気象予報のサイトです。こちらのサイトは、(2017年10月現在)無償で利用できる気象予報のサイトで、一般の天気予報とは違って間に気象予報士などを挟まずにスーパーコンピューターの予報結果を直接表示するので、比較的お天気の急激な変化に早く対応できる点と細かい地域ごとの雲や風、気温の変化を見ることができるのが特徴です。

予報は、10日先まで見られる「広域」と39時間先まで見られる「詳細」の2種類があり、それぞれ1日1回と8回、決まった時間に更新されています。

1.雨の翌日は雲海が出るのか?

よく「雨の降った翌日は雲海が出る」と言われますね。確かに雨が降ることは霧が出やすい条件のひとつなのですが、必ずしも翌日に雲海が見られるわけではありません。それでは、どんな時に雲海が見られないかと言うと…
● 前日夜半から早朝にかけて十分な晴れ間が無かった場合は×:
この場合は、放射冷却・逆転層の形成が不十分なために発生した霧が低空に閉じ込められることなく、少しずつ上空に昇ってきます。その結果、山の上の方に霧が多くなって視界が無くなってしまったり、視界が確保できたとしても境目のはっきりしないぼんやりとした雲海になることが多いようです。
一般の天気予報で「晴れ」と言っているのは、空全体を10として、雲が2~8割を占めている状態(0~1割の場合は快晴)です。つまり、天気予報で晴れると言っても8割がた雲で覆われている可能性もあるということです。なので、天気予報で晴れになっていても、GPV気象予報で、お出かけの地域の雲の量を確認しておいた方が良いでしょう。

「雨量・雲量」のページで黒くなっている部分が雲の無い快晴エリアです。同じ晴れでもグレーよりは黒の方が良い条件です。

また、朝の気温の下がり具合いは、「気温・湿度」のページで確認すると良いでしょう。青い色が濃い場合は冷え込みが強く霧が発生しやすい条件です。
● 冬型の気圧配置になって乾燥した風が吹き込む場合は×:
これは、特に11月以降に多いのですが、雨の後と言うのは低気圧が東に移動して、西から高気圧が近づいていることが良くあります。この場合は、いわゆる西高東低、冬型の気圧配置で北西風が強く吹き込みます。日本海から吹き込む強い風は、山を越えると乾燥した空気になって奈良盆地に入ってくるため霧が発生しにくい要因になります。これを見極めるためには、「気圧・風速」のページで等圧線の混み具合を確認します。海上などの等圧線が細かい幅で平行に走っているようなときは風が強いことを現わします。

一般に早朝は内陸部では風が弱くなりますが、海上で強い風が吹くときは空気が乾燥しやすいので、内陸部だけでなく、海上の風の状態も確認した方が良いでしょう。等圧線の間隔が広い方が良い条件です。

2.では、どんな時に雲海が出やすいのか?

雨の翌日はもちろんですが、雨の翌日でなくても、翌々日でも、もっと後でも前述1の逆の条件、つまり十分な晴れ間があって強い冷え込みがあれば、空気中の水分が押し出されて霧になり、また逆転層によって地上付近に閉じ込められる可能性が高いということです。また、乾燥した空気が入り込まないことも必要条件になります。

「気圧・風速」のページで海上での等圧線の間隔が広く、陸上だけで木の年輪のような同心円をいくつも描いているようなときは、雲海が出やすいようです。

3.お出かけ前にチェックしたいことは?

良く晴れているかどうかは、空を見ればわかると思いますが、湿度の方は、これは、「雲海発生のメカニズムについて」のページにも記載しましたが、車のフロントガラスに着く水滴の量で、かなり正確に霧の発生予測ができます。霧が出そうな日は大抵、ガラスが濡れていると思いますが、少し濡れている程度ではなく、びっしょり濡れている(あるいは内側まで曇っている)ような状態ならかなり条件は良いでしょう。ほかにもし近くに見ることができるなら煙突から出る水蒸気の状態(風に流されずに広範囲に広がっていると良い条件)、街灯(光芒が見える)などでも判断ができます。
さらに車で走っていると地表を漂う微かな霧や独特の臭い(湿った冷気)でもわかることがあります。

4.直接現地の様子がわかるライブカメラは?

雲海の名所と言われている所では、観光のためのライブカメラが山頂に設置されているところもありますが、そこまでは無くても、道路や河川を監視するカメラがWebで公開されている場合があるので、お出かけスポット周辺のカメラを確認するのも良いでしょう。カメラで確認してから現地まで1時間以上かかるような場合だとあまり実用的ではないかもしれませんが、その時霧が出たか出なかったかを確認できれば後々の参考にもなります。
以下は榛原市街地(宇陀川)の河川監視カメラのWebページの表示イメージです。奈良県河川カメラのページから「宇陀川」をクリックすると見ることができます。

慣れないと霧、雨の区別が少し難しいですが、何と過去データも含めて時系列で1時間ごとまたは10分ごとの状態を見ることもできます。是非実際に過去に雲海が出た日(例えば2017年10月18日、26日など)の状況を確認してみてください。午前2時ごろから7時頃まで濃い霧が出ていたのがわかります。(ただし、1カ月以上前のデータは削除されます。)
なお、当然ですが雲海が見られるかどうかというのは、それぞれの地域の地形やちょっとした風向きの変化によっても変わってきますので、必ずしも気象データだけで確実にわかるものではありません。綺麗な雲海を見るためには、ダメもとでも出かけて場数を踏むしか方法は無いと思います。

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